峠のキタロウ(つづき)

よしむら

(峠のキタロウ のつづき)

初めてのシンサイバシに
わたしの足元は

下駄を履いていた

 

 

シンサイバシ ってそういう自由な国だと
思っていたのだ

 

実際自由な街だった、

素直にスニーカーを履いていればいいところを
ひねくれて下駄を履いていようが

カランコロン と足音が鳴り
峠のキタロウが古着屋に入ってこようが
たこ焼きを食べていようが

シンサイバシでは
特に目立つわけでもなかった

 

 

家路につき、田舎の薄暗いJRの駅にたどり着いたときに
わたしの下駄の音は鳴り響き、
よく目立っていた

よしむら